1979年初版 四六判 P230 帯およびカバー端少イタミ 小口からページ端にかけてヤケ
1979年初版 四六判 P230 帯およびカバー端少イタミ 小口からページ端にかけてヤケ
“本書は「大正時代」を、知識人と庶民の二つの感性を軸とした《感情史》という新しい視点で捉えなおし、現代に脈打つ情感の原点として描き出したものである。”(帯文)
“……大正文化そのものに開花期の大輪の花の如きイメージはないにしても、大正独特のひめやかな香気がかもし出されており、それらはやがて大きく育つ胚芽の形で芽生えている。…(中略)…
表面的な社会現象を追うだけでは、なかなかつかみにくい大正のもつ内容のひだにそって探りを入れていく必要があるのではないだろうか。「これが大正だという暗黙裡に共有された厚味のある経験」を顕わにしてみたいという野心をわれわれはいだくにいたった。”(帯裏紹介文)
目次:
序章 大正の経験
{大正という時代/こころの外部/夢とその影}
一章 大正の憂鬱
{軽井沢の木もれ日の中で/有島武郎の農場解放の理念/「新しき村」の理想/思索するインテリゲンツィアの悲哀/有島武郎と河上肇/予言者と教条主義者の群れ/「宣言一つ」の歴史認識/クロポトキンをめぐって/愛と覚悟と苦悩と}
二章 大正の感傷
{横光利一と吉田弦二郎/静かな流行作家/文壇の内と外/人生の寂しさ/暗い愛の巣/聖書から自然へ}
三章 大正のロマン
{谷崎潤一郎の大正/「活動写真の現在と将来」/大正の日本活動写真/大正活映の創立と映画作家谷崎潤一郎/第一回作品『アマチュア倶楽部』/シナリオ『月の囁き』/『葛飾砂子』/大作『蛇性の婬』と大正活映の崩壊}
四章 大正の質感
{一枚のヌード写真/日本近代写真の夜明け/白樺文化の射程/兜屋画堂開設/兜屋画堂以後/野島康三と“大正”}
五章 大正のヴァイタリティー
{「大正っ子」の消長/庶民の活力/「大東京」の末路/翔ぶ女たち/翔べない女たち/大正一〇年の立替え}