1997年初版 四六判 P213 背僅ヤケ
1997年初版 四六判 P213 背僅ヤケ
“パラダイムの一大転換を迫られた明治期、科学とオカルトの境界に狂い咲いた催眠術。他者の心さえ思うままに操る“術”と、人々を「国民」として統合していく国家とを重ね合わせて読み解く。”(カバー紹介文)
目次:
はじめに
I 催眠術の登場―合理と非合理のはざまで
1 催眠術の移入
{「こっくりさん」の向こう側/催眠術の移入/アカデミズムと催眠術/催眠術と小説・演芸/催眠術ブームの断絶}
2 異形としてのメスメリズム
{メスメリズムの移入/メスメリズムとスピリチュアリズム/メスメリズムと「電気」}
3 「幻術」の発見
{催眠術と幻術のあいだ/幻術としての「忍術」/近藤嘉三『幻術の理法』『魔術と催眠術』/気合術師、浜口熊嶽}
4 「幻術」の歴史
{幻術の歴史/幻術とキリシタン/『動物電気概論』と『魔術と催眠術』の〈絵〉}
II 催眠術ブームの背景
1 明治三十六年の催眠術
{催眠術ブームの再来/「脳」と「神経」と催眠術/催眠術書の中身/催眠術と心霊学/「万能薬」としての催眠術/催眠術の「霊」的理論}
2 幸田露伴「術比べ」の周辺
{催眠術は「邪法」か「科学」か/「狐」というメタファー/憑物信仰と催眠術/写真・玉突き・催眠術}
3 アカデミズムと権力/制度
{『催眠術及ズッゲスチオン論集』の刊行/心理学・精神医学の眼差し/心理学と精神医学の「学」的附置/犯罪としての催眠術/宮崎県の私為医業被告事件}
III 変質する催眠術
1 森鴎外「魔睡」の象徴性
{鴎外と「魔睡」/明治四十二年の催眠術/誘発される「性」}
2 「千里眼事件」の波紋
{千里眼事件と催眠術/メディアの眼差し/福来友吉の挫折/「催眠術」から「霊術」へ}
IV 霊術の時代
1 霊術のバックグラウンド
{大槻快尊「精神療法の話」/心理学の「心霊」からの撤退/高橋五郎の「心霊哲学」/マイヤーズの「潜在意識」/精神分析の危うさ/禅と催眠術}
2 多面体としての霊術
{村上辰午郎の催眠術普及運動/多面体としての霊術/霊術の営業戦略/太霊道と大本教/「神経病」の時代のなかで}
3 霊術の行方
{庶民の眼差し/霊術ブームの終焉}
おわりに―世紀末と現代日本
あとがき