平成2年2刷 A5判 P315 カバーヤケ、上部少イタミ 本体少歪み
平成2年2刷 A5判 P315 カバーヤケ、上部少イタミ 本体少歪み
式場隆三郎、藤森照信、赤瀬川原平、式場隆成、岸武臣
「今を去る五〇年前、深川の門前仲町の電車通りに面して「二笑亭」といえる狂人の作れる建築ありき。この作者は、始め足袋製造を業とし、洋品雑貨を営む地主なりしが、心狂い始めてよりシャツ股引のまま欧州航路の一船客として帰国してより、金にあかして建築を始めたりき。
役にたたぬ梯子、使えざる押入れをはじめ常軌を逸したる建築なりしが、その奇想天外にしてたくましき構想力のあふれたるつくりは、当時の新聞の報ずるところとなり、やがて精神病学の権威・式場隆三郎先生の認めるところとなりて、昭和十四年、その著わすところの『二笑亭奇譚』によって江湖に紹介せられたり。
今日、われら同書をここに復刊し、さらに、この狂建築家より学びし新たなる成果を報告せんとするものなり。」(巻頭辞 本書収録「二笑亭縁起」より抜粋のうえ、加筆したもの)
昭和四十年・今野書房刊『決定版・二笑亭奇譚』に昭和十四年・昭森社刊『二笑亭奇譚』の写真図版を複写転載し、書き下ろし新資料「五〇年目の再訪記」を加える。
目次:
二笑亭奇譚 (式場隆三郎)
発端・電話事件/赤木城吉小伝/二笑亭の由来/異様な外観/不思議な間取り/黒板に残された文字/節孔窓/和洋合体風呂/九畳の間/昇れぬ梯子/遊離した厠/鉄板の目隠し/土蔵裏の祠/天秤堂/使えぬ部屋/巨大な撞木/二笑亭主人語録/病気の診断/芸術としての二笑亭/生活の反省
二笑亭後日譚
跋 (柳宗悦)
二笑亭の建築(谷口吉郎)
あとがき
五〇年目の再訪記
二笑亭主人異聞(式場隆成)
二笑亭再建せり(藤森照信)
小説 毛の生えた星(赤瀬川原平)
(付)海外旅行記(渡辺金蔵)