1972年初版 四六判 P254 カバーヤケ、スレ、端イタミ ページ角折れ跡
1972年初版 四六判 P254 カバーヤケ、スレ、端イタミ ページ角折れ跡
落語『真景累ヶ淵』『死神』などに見られる表現、生い立ち、エピソードを手がかりに、明治末期の名人三遊亭円朝の創作、観念の世界を探る。
目次:
序 (現在、なぜ円朝なのか/これまでの円朝の評価)
第一章 不安からの出立
1 利発でおとなしい少年
2 暗く乾いた〈殺し〉 (無意味なものとしての民衆の死/殺すことの重たさ/受け止めきれない他人の死/異常な凶器/〈殺し〉を噺す円朝の心的構え)
3 性関係の転倒 (哀れな毒婦たち/憧憬としての女たち/殺しても死なない女)
4 肉的なものへの恐怖 (疾病等による肉体の変様/異様なものとしての幼児/肉親相殺/爪と頭髪)
5 どうしようもない〈やさしさ〉 (怒ることを忘れた円朝/〈やさしさ〉の構造/痴呆者への憧憬/奔逸する観念/円朝の因縁の世界)
第二章 円朝を生み出した人びと
1 話芸の世界 (円朝はなぜ噺家になったのであろうか/嘘言者の〈かなしさ〉/自己喪失としての笑い/失語症としての世間話/話から噺へ/円朝の噺の世界)
2 円朝と芳年 (もう一人の円朝/血みどろ絵の世界/血だらけのダルマ)
3 幕末の民衆たち (暗黒へ向っての階級形成/踊り狂う民衆/江戸でも農村でもない円朝の話の世界)
第三章 円朝と明治
1 大円朝の後退戦 (宗教への傾斜/一代記ものへ/名人ものへ/抽象的心理劇の世界へ/噺家生活の断念)
2 円朝以後の落語界 (円遊の時代/円喬の時代)
3 明治を撃つ円朝 (ごみ箱の陰で泣く少年/二つの塩原多助/正気と幻覚)
巻末に三遊亭円朝作品一覧、年譜を収録