2007年 A5判 P575 帯付 カバー少スレ、僅汚れ、端僅イタミ
2007年 A5判 P575 帯付 カバー少スレ、僅汚れ、端僅イタミ
“記憶、歴史、忘却、想起―。
20世紀の破壊と忘却を経て、現在も先鋭化する記憶をめぐるさまざまな問題を鮮やかに照らし出す記憶研究における必読の書。”(帯文)
“記憶術をはじめ、ニーチェ、アルヴァックス、ノラらの研究、シェイクスピア、ワーズワース、プルースト、ヴォネガットらの文学作品、キーファー、ボルタンスキー、カバコフらの現代芸術などを手がかりに、記憶研究におけるドイツの第一級の知性が、古代からデジタル時代に至る想起の文化史を概観し、想起の空間の多彩なパノラマを提示する。”(帯裏紹介文)
目次:
日本語版へのまえがき
まえがき
序論
【第一部 機能】
第一章 〈技〉としての記憶と〈力〉としての記憶
第二章 記念の世俗化 ―メモリア、ファーマ、ヒストリア
1 記憶術と死者の記念
2 ファーマ {アキレウスの墓畔で流されたアレクサンドロスの涙/名声の殿堂と記念碑}
3 ヒストリア {由来と記憶/歴史的感覚/忘却の墓/モニュメント、遺物、墓}
第三章 シェイクスピアの史劇における思い出の戦い
1 想起とアイデンティティ
2 想起と歴史
3 想起と国民
4 幕引き後の小劇
第四章 ワーズワースと時の傷
1 メモリアと想起
2 想起とアイデンティティ {ジョン・ロックとデイヴィッド・ヒューム/ウィリアム・ワーズワース}
3 リコレクション ―想起と想像
4 アナムネーシス ―神秘的反映
第五章 記憶の箱
1 箱舟としての記憶 ―サン・ヴィクトルのフーゴーのキリスト教記憶術
2 ダリウスの小箱 ―ハインリヒ・ハイネ
3 ひどい箱 ―E・M・フォースター
第六章 機能的記憶と蓄積的記憶 ―想起の二つの様態
1 歴史と記憶
2 機能的記憶と蓄積的記憶 {機能的記憶の役割/蓄積的記憶の役割}
3 歴史と記憶についてのクシシュトフ・ポミアンとの会話
【第二部 メディア】
第一章 想起のメタファー
1 書字メタファー ―筆記板、書物、羊皮紙
2 空間的メタファー {発掘}
3 記憶の時間的メタファー {嚥下、反芻、消化/凍結と解凍/睡眠と覚醒/招魂}
第二章 文字
1 永遠化のメディアおよび記憶の支えとしての文字
2 記憶メディアとしての文字とイメージの競合 {エネルギー保存容器としての文字/フランシス・ベーコンとジョン・ミルトン}
3 文字の没落 ―バートン、スウィフト
4 テクストから痕跡へ {ウィリアム・ワーズワース/トマス・カーライル}
5 文字と痕跡
6 痕跡とごみ
第三章 イメージ
1 活イメージ
2 象徴と原型
3 男性の記憶における女性像 {マグナ・マーテルとしてのモナ・リザ(ウォルター・ペイター)/収集家としての恋人(マルセル・プルースト)/再構成的なイメージ記憶と爆発的なイメージ記憶(ジェイムズ・ジョイス)}
第四章 身体
1 身体の文字
2 想起の安定装置 {情動/シンボル/トラウマ}
3 偽りの思い出 {アメリカの〈偽りの記憶〉論争/オーラル・ヒストリーにおける思い出の信憑性の諸基準/偽りの思い出の〈真実〉 ―四つの事例}
4 文学における戦争トラウマ {トラウマと神話 ―ホーフマンスタール『エジプトのヘレネ』/トラウマと空想文学 ―カート・ヴォネガット『スローターハウス5』/トラウマと民族の記憶 ―レスリー・マーモン・シルコウ『儀式』}
第五章 場所
1 場所の記憶
2 世代の場所
3 聖なる場所と神話的風景
4 典型的な記憶の場所 ―エルサレムとテーバイ
5 記念の場所 ―ローマのベトラルカ、アテナイのキケロ
6 ゲニウス・ロキ廃墟と招魂
7 基地と墓標
8 トラウマの場所 {アウシュヴィッツ/意に反した記憶の場所 ―テロのトポグラフィー/記憶の場所のアウラ}
【第三部 蓄積装置】
第一章 アーカイヴ
第二章 持続、腐朽、残存物 ―保存の問題と文化のエコロジー
第三章 忘却の休閑地における記憶のシミュレーション ―現代の芸術家たちによるインスタレーション
1 アンゼルム・キーファー
2 ジークリット・ジグルドソン
3 アンヌとパトリック・ポワリエ
第四章 苦難の宝としての記憶
1 クリスチャン・ボルタンスキー ―『失われた家』
2 ナオミ・テレザ・サルモンの写真連作『保管物』
第五章 アーカイヴのかなた
1 くず屋 ―芸術と廃棄物の関係について
2 世界の残りのための小さな美術館 ―イリヤ・カバコフ
3 死者の百科事典 ―ダニロ・キシュ
4 恩寵の図書館 ―トーマス・レーア
5 溶岩とごみ ―ドゥルス・グリューンバイン
結び ―文化的記憶の危機について
原注
訳注
書誌ノート 55
文化的記憶のコンセプトについて ―訳者あとがきに代えて