2006年 A5判 P514 カバー僅スレ、端ごく僅イタミ 天地小口僅汚れ
2006年 A5判 P514 カバー僅スレ、端ごく僅イタミ 天地小口僅汚れ
“《意味の創造とは複数の条件のランダムな出会いによって惹き起される神秘的な脳内啓示などではなく、可変的な入力にたいする説明可能な処理過程によって出てくる予想可能な出力結果である。……
人工知能は、基本信念、方法論の鍛錬、特定の研究方法を規定する問いの立てかた、分析概念のレパートリー、アナロジーの源泉という五つの側面で、文学理論・テクスト記号論に貢献できる……》
人工知能(AI)研究のテクストとストーリー自動生成の諸モデルをオースティン、サールにはじまる言語行為論の成果とともに虚構研究に適用し、「物語とはなにか」「虚構とはなにか」「筋(プロット)をおもしろくする美的基準とはなにか」―といった《正統派構造主義によって異端の烙印を押されていた》問いに明晰にこたえて物語論の新たな展開を示した二十一世紀仕様の文学理論。
英米系「脱構築」論者の誤解にもとづく記号論詩学への批判を一蹴する才気溢れる冒険の書。”(カバー裏紹介文)
目次:
序
【第I部 虚構のゲーム】
1 虚構の中心移動
{虚構指示説/可能世界/中心移動/ごっこ遊びと虚構の二重性/中心移動と言説類型論/言説類型と可能世界―まとめ}
2 可能世界と到達関係 ―虚構の意味論的分類
{到達関係/決定不能な関係/多重関係と分裂存在論/多重関係と遍在する中心/宇宙内関係/ジャンルと到達関係/レパートリーの拡大/到達関係と虚構性}
3 テクスト宇宙の再構築 ―最小離脱法則
{最小離脱と相互テクスト性/最小離脱への挑戦/最小離脱の作用域}
4 声と諸世界
{虚構の語り手不在論/入れ子になったやりとりの諸項/虚構の規則/虚構として読むこと/虚構とテクストの志向性}
5 虚構オートマトン
{言語演技/噸呼法/隱喻/叙情詩/劇/出来合の言説/パロディ/架空中継/都市伝説/法螺話/メタフィクション/視覚媒体/ 言語/非言語混合媒体 /虚構・引用・言語類像}
【第II部 筋の図面作成】
6 物語宇宙の様相構造
{物語宇宙/事実領域(実際の世界)/《実際の世界》の構成要素/知識世界/義務世界/願望世界/擬装世界/空想宇宙/世界どうしの関係}
7 筋の力学 ―目標・行動・計画・私秘的物語
{状態遷移図としての物語/物語命題vs非物語命題/事象・状態・過程/状態間の遷移―偶発事・行動・運動/行動と結果 計画 私秘的物語}
8 仮想性と物語価值性
{物語価値性と物語要点/多様化の法則/仮想性をともなうその他の概念}
9 累積・枠・境界、あるいはコンピュータ言語としての物語
{物語の境界―その分類/ 枠づけ/入れ子モデル /累積の冒険
10 筋の形態表示
{物語文法/プロット単位モデル/再帰図表モデル}
11 ストーリー自動生成の発見学
{遷移網状組織/文法主導型モデル/シミュレーション型アルゴリズム/問題解決アルゴリズム/作者の視座/物語価値性と物語内容生成―提案}
結論!
註
参考文献
索引
詩学の言語使用論的問題 訳者あとがきにかえて