1996年初版 文庫判 P746+付録P4 カバー背汚れ大 小口ヤケ大、時代シミ多 末尾ページ時代シミ
1996年初版 文庫判 P746+付録P4 カバー背汚れ大 小口ヤケ大、時代シミ多 末尾ページ時代シミ
““人間ならぬ何か奇妙に悲しい生物”三島由紀夫への痛恨の鎮魂曲《レクイエム》、江戸川乱歩ら異端と幻想の作家への限りないオマージュ、『黒鳥の旅もしくは幻想庭園』『ケンタウロスの嘆き』『地下を旅して』三冊のエッセイ集を初の文庫化。“地球という名の流刑地”をひととき訪れた一羽の黒鳥・中井英夫の人外の嘆き。”(カバー裏紹介文)
目次:
【黒鳥の旅もしくは幻想庭園】
I オーストラリア幻想旅行
{黒鳥の旅/幻想庭園/出口と入口について―言語空間の祭典}
II 白鳥盗人・ほか
{ミロのビーナスが教えていったもの―女性の同性愛について/鏡と迷宮―男のナルシシズムについて/白鳥盗人/日本人の貌 「非国民の思想」/余白の人 「私の憲法論」/暗い宴 「わが体験」}
III 百科事典について
{百科事典とコンピュートピア/街角での敗き/百科事典と人間と}
IV 色彩・その毒について
{色彩・その毒について/アリス狩り/吊された裸童女 ―建石修志の世界―/イカロスのほほえみ―朝顔の青に寄せて/国民服の菊五郎/炎と記憶/悪夢の再来 笠井叡「七つの封印」/ぜいたくということ/文字・色・音 「出会い」/幌の中 「私と医者」/ベッドの中の同行者 「独りぐらし」/街の中にタイムトンネルを見つけた/緑への転身/牡螺の殻なる牡蠣の身の……/石黒健治の「広島」/廃墟の唄 「流行歌について」/名前と翼 「漫画について」/古い時計 「映画の時間・観客の時間」/誰が鞭を持ち始めたのか 「ナチは復活するか」/金魚と蟻と人間と 「人肉喰いの思想」/同時代の吸血鬼/『テオレマ』について/シャンソン二題 (・われらのベルエポック ・嘘つきアルフォンソ)}
あとがき
【ケンタウロスの嘆き】
I 作家と作品
A 三島由紀夫
{ケンタウロスの嘆き/終りなき宴 ―『三島由紀夫全集』刊行によせて/見てしまった魂の不幸 ―『三島由紀夫十代作品集』/三度目の遺書 ―三島由紀夫『小説とは何か』}
B 川端康成
{見えない遺書}
C 吉行淳之介
{夜の跫音 ―『薔薇販売人』/小さな魔法 ―『焰の中』}
D 寺山修司
{炎の種子}
E 北原白秋
{昼見えぬ星}
F 江戸川乱歩
{美への愛情/香り高い闇}
G 五木寛之
{現代の疾走者}
II 異端と幻想の文学
{日本の異色作家/久生十蘭論/戦争と久生十蘭/異次元の作家たち―小栗・夢野・久生/地球への流刑者―小栗虫太郎『二+世紀鉄仮面』『人外魔境』/悪夢の固まり―『夢野久作全集』/狂気のあかし―「ドグラ・マグラ」頌/異端の復権―久生・夢野・橘/廃園にて/金貨について/黒い水脈}
III カイン待望論
{カイン待望論/短編よ、よみがえれ/影の会のこと―乱歩から清張へ/そしらぬ顔の故郷―わが町・わが本/憎むこと・愛すること―私の読書遍歴/本との出会い/空しい音―愛読者をさがす登場人物/血紅の美酒―泉鏡花に寄せて/夢への扉/手ぶくろ}
IV 書評
{美と恐怖の塔―江口裕子著『エドガア・ポオ論考』/フィクションの継目―富士正晴著『贋・久坂葉子伝』/孤独な将棋さし―ノサック著『わかってるわ』/朝霧の彼方に―『木々高太郎全集I』/生者の沈黙と死者の饒舌―渡辺温作品集『アンドロギュノスの裔』/美の系譜―松田修著『刺青・性・死』/凍りついた時間―船山馨著『見知らぬ橋』/異端の美食家―中野美代子著『迷宮としての人間』/登攀を許さぬ峻峰―平畑・三谷編集『西東三鬼全句集』/流刑地の友へ―『加藤郁乎句集』/戦争の日々の哀歓―山田風太郎著『滅失への青春』/痛ましい予言者―海野十三著『敗戦日記』/つまり、そういうこと―吉行淳之介著『湿った空乾いた空』}
あとがき
【地下を旅して】
I 地下を旅して
{地下を旅して/舌と鼻と/薔薇が、薔薇で……/金沢・東京・田端/悪夢者の呟き/鏡と影の世界 わが“のすたるじあ”/カレイドスコープ/正義の味方/話しことばの詩・私見―話体と文体/ある冥さについて―近代と私/兄とレコードと友人たち/死者への手紙―手紙の楽しみ/木馬館周辺―見世物/「懶人《ロイアルト》」考/人形への惧れ/点としての東京―東京の風景}
II 双点
{手紙たちの不運/交差する腕/逃げる男/猫車/カフカと鬼灯/梅林の嘆き/光る海/雪と嚏/月光浴/双子の時代/双面神/片雛}
III 作家と作品
{見えない星田三平氏/『天狗』頌―大坪砂男/プルーストの日々/本物の劣等生―鶴見俊輔/老いたるアリョーシャ―ドストエフスキー/へルマフロディットの幻―バルザック/ネッシーは浮上したか―ワイルド/枯野と十字架―竹久夢二/散文精神の城―メリメ/星たちの宴―稲垣足穗/新・江戸川乱歩論―孤独すぎる怪人/『瓶詰の地獄』解説―夢野久作/『人魚の嘆き・魔術師』解説―谷崎潤一郎/『乱れからくり』解説―泡坂妻夫/『美国横断鉄路』書評―久生十蘭/『青蛾館』書評―寺山修司/『グアテマラ伝説集』書評―アストゥリアス/『記憶の遠近法』書評―澁澤龍彦/『評伝三島由紀夫』書評―佐伯彰一}
IV 対談・現代文学のフロンティア(インタビュアー:田中淳一)
あとがき
解説(川村湊)/解題(本多正一)
付録:中井英夫と田端(近藤富枝)/般若心経と黄不動(池田清彦)