昭和57年 四六判 P273 ビニールカバー僅イタミ 帯少波打ち 天僅イタミ
昭和57年 四六判 P273 ビニールカバー僅イタミ 帯少波打ち 天僅イタミ
“私がこの一巻の著で、終始訴へ続けてゐるのはただ、詩歌と呼ぶ言語宇宙の全き調和であり、詩歌を愛し、これの創作に懸ける人人が、狭量な、詩形別の自治領内にたてこもつて、互に孤立することを排する、その一事に他ならぬ。(本書「跋」より)”(帯文)
目次:
【I 日本詩歌論 ―古今集時代より昭和黄金時代へ】
テキスト
古今・新古今から芭蕉·蕪村へ
{古今和歌六帖・王朝歳時記―六百番歌合・情熱と秀抜の詞華―芭蕉と新古今・保田與重郎の後鳥羽論・芭蕉と後鳥羽院他―新古今を抜ける淒じさ―蕪村・ロマネスクの美}
明治の文芸ルネッサンス
{新古今以後・和歌の暗黒時代―「明星」の華麗と衰退―根岸短歌会・「アララギ」の誕生―新体詩の影響―木下杢太郎の影響―『赤光』・萬葉調・永遠の中の今―写生の主張と実作の間・茂吉の歌の謎と技巧―晶子の叙景歌―数詞の妙}
明治の文芸ルネッサンス(承前)
{『みだれ髪』・晶子と蕪村・本歌取りとは・晶子の恋歌と語法―『相聞』・晶子より鉄幹・「明星」の魅力と限界・通俗美学―『桐の花』・外来語の美学・修辞と感覚・繊細の極致・中野重治の白秋批判}
昭和黄金時代
{小林秀堆訳ランボーの影響・韻文経験なき現代詩―日本浪漫派・伊東静雄―現代詩の先駆・山村暮鳥、西脇順三郎、安西冬衛―ランボーと茂吉のコレスポンダンス―四Sの俳諧性と短歌性―茅舎、波郷、草田男の感覚と技法―新興俳句の偉才・三鬼、赤黄男―楸邨、蛇笏、多佳子等の個性―栄光の断
崖・昭和十五年刊行の歌集他―『新風十人』・短歌の青春と時代への抵抗・佐美雄、哲久、佐太郎―昭和のアポカリプス・史―戦揚の青春詠・柊二―太平洋戦争へ、断崖の花}
【II 現代短歌出門 ―詩歌に未来はあるか】
よみ人知らす
{歌の無署名性―藤の花房・茂吉の子規評価―浦の苫屋・茂吉の定家鑑賞―よみ人知らず―署名尊重の怪―滅び行く短歌―梁塵秘抄・閑吟集―現代の歌謡 「君が代」と「さくら」―はかなさに賭ける―日本語の正統を守る―投節・田植草紙}
短歌出門
{〈むべ〉と〈あけび〉―現代短歌の矛盾・死語と詩語―短歌入門書の虚妄―短歌出門のすすめ―韻文なき散文の虚妄―教養の不可欠性―虚無への賭―幻想歌人茂吉―短歌出門即入門}
歌のヴァカンス
{東大寺再建と新古今和歌集―東大寺落慶供養と昭和萬葉集―オケイジョナルポエム―詩歌の帝王の空位―歌の永遠の休暇―古典の不在ガラス―ガラスケースの中の芸術}
跋 調和の幻想