1981年初版 P369 帯背ヤケ カバー僅スレ、僅クスミ 小口からページ端にかけてヤケ、僅シミ、僅イタミ
1981年初版 P369 帯背ヤケ カバー僅スレ、僅クスミ 小口からページ端にかけてヤケ、僅シミ、僅イタミ
“シティズン、有名な主人公ゾロ・ナップを演じる一流の俳優。いつも善悪の戦いという古いパターンのむしかえし。まぬけな主人公。彼はうんざりしていた。
世界の核地帯は巨大な空洞のできた球体で、無数の泡地区から構成されていた。それは変化しやすく、いつのまにか映画のセットの一部になったかと思うと社会の一部になる。たえず調査=検査官の命令どおりの図式で映画がつくられる厳格な階級社会だったのだ。その外には環状地帯と呼ばれる無秩序のジャングル。その外には何もない……? 彼はうんざりしていたのだ。善は必ず勝つなどというグロテスクな嘘を何故くりかえすのか? なぜ本物の猿や鯨はいないのか? 大衆は何を望んでいるのか? そもそも大衆は存在するのか? ここでは疑問はそのまま反抗の一つの形式となる。来ないゴドーを追いつめて殺そうと、城の扉を斧で叩き割ろうとするKとしてのシティズン。類稀れなフランスSF。”(カバー裏紹介文)