1984年4刷 四六判 P111 カバー上部少ヤケ、上端僅イタミ
1984年4刷 四六判 P111 カバー上部少ヤケ、上端僅イタミ
“たとえ権力の外にある場所から語ったとしても、およそ言説には、権力(支配欲)がひそんでいるのである。そこで、この授業が自由なものであろうとすればするほど、ますますつぎのように自問することが必要であろう。いったい、いかなる条件のもとで、いかなる操作によって、言説は、いっさいの占有欲からのがれることができるか、と。私の見るところでは、この問いかけこそ、きょう開講されたこの授業の根本的な企図をなすものなのである。
実際、この授業において、これから間接的に、しかし執拗に問題になるのは、権力である」
本書は、ヴァレリーやメルロー=ポンティなどの名で知られるコレージュ・ド・フランスに迎えられたロラン・バルトが、自らの思想と立場を表明すると共に、記号学の未来を展望した開講講義を収める。言語の権力というテーマを設定し、それをめぐる多様な問題を浮彫りにしつつ、「新たな授業」を提示・展開する本書は、バルトの思想はもとより、現代の文学・記号学に関心をもつ読者によって必須の一冊といえよう。また巻末に、バルト記号学の核心を明らかにする詳細かつ刺戟的な、訳者による解説を収める。”(カバー裏紹介文)
全111ページのうち58ページまでが本文、後半部は訳者解説「文学の復権 ロラン・バルトの開講講義『文学の記号学』をめぐって」を収録。