2014年　四六判　P357＋索引P7　目次ページに裁断ミスによる剥がれ　カバー僅汚れ、上角僅イタミ

“花札をその本来の輝き、〈自然を敬愛して共存する日本の文化〉という特性のうちに描く。
法制史をはじめ文学作品におよぶ膨大な文献を渉猟して花札＝賭博という強固なイメージからの脱却をめざすとともに、絵柄の変遷などにまつわる謎を解明する。”（帯文）

目次：
はじめに

序章　花札史研究の課題と方法
　1　遊戯の文化史、社会史／2　遊戯史研究の先行業績／3　花札史研究の課題と方法

第１章　花札の誕生　賭博文化が盛んな中で（江戸時代中期）
　1　『宴遊日記』における「花合せ骨牌」の記録／2　「花合せ骨牌」は花札を指すのか／3　花札の「花鳥合せカルタ」起源説／4　「花鳥合せカルタ」の実体／5　花札の誕生を説明する『温古の栞』／6　江戸時代中期の「古型花札」の発見／7　初期木版花札「武蔵野」の発見／8　「花鳥合せカルタ」起源説の終焉／9　明治期の有識者による花札の由来の紹介／10　花札の図像は大名庭園由来／11　花札の誕生は江戸時代中期

第２章　花札の普及　それは博奕用具だったのか（江戸時代後期〜明治前期）
　1　花札の普及と遊技法の多様化／2　花札の図像の変化／3　花札の生産地の拡散／4　花札の規制と処罰・その空白／5　外国人の眼に映じた日本のカルタ／6　「めくりカルタ」代用品説の克服／7　文芸作品での花札の不在／8　花札の規制と処罰・明治初期の事態／9　刑法施行と賭博犯処分規則の制定／10　賭博犯処分規則による花札賭博の取締り／11　女性、子どもの手遊びの花札

第３章　花札の自由化　花札解禁と大流行期の到来（明治中期）
　1　花札販売業「上方屋」の開店／2　「團團社」によるトランプ販売の開始／3　「上方屋」によるトランプ販売の拡大／4　明治二十年代、花札の流行／5　外国人の眼に映じた明治期の花札／6　「八八花」遊戯法の流行／7　「八八花札」の図像の確定／8　手作り花札の製作工程／9　司法官弄花事件とその衝撃／10　「武蔵野」の退場

第４章　花札の公認　大日本帝国における（明治後期〜昭和前期）
　1　人気ブランドの登場と商標登録／2　骨牌税の導入と業界の淘汰／3　大日本帝国の標準装備としての花札／4　花札は外貨獲得の輸出産業／5　大日本帝国の植民地経営における花札の活用／6　日本国内での花札の流行／7　花札の生産／8　花札賭博の隆盛／9　軍隊と花札

第５章　花札の衰退と再興　花札文化に未来はあるか（昭和後期〜平成期）
　1　第二次大戦敗戦後の社会と花札／2　トランプ類税法の導入と廃止／3　花札業界の変貌／4　高度成長期の社会変動と賭博札、花札の衰退／5「任天堂」の転身／6　カルタ史研究の高まり／7　民俗学における花札の無視／8　トランプ類税廃止後の花札／9　花札遊技の愛好者グループと新しい遊技法の開発／10　グローバル花札への展開

おわりに
索引