1996年初版 四六判 P279 帯スレ、背ヤケ大 カバー少イタミ、少汚れ、背ヤケ 小口少汚れ
“日本文化のルーツは雲南ではない！
弥生時代の遺跡から大量に出土する木製の鳥。その謎を追ううちに、稲作文化が日本にもたらしたものが、見えてくる。三〇年にわたる東アジア民俗の旅の集大成”（帯文）
目次：
序章 鳥の信仰を追う
｛吉野ヶ里遺跡の祭祀空間／祖霊と鳥／古代における鳥の信仰／死霊を運ぶ対馬の鳥竿／民俗学的推理の可能性／鳥形木器の出土／縁辺部と中心部の島／鳥竿をめぐる各説／鳥竿の具体例／忌宮の奉射と数方庭／韓国にソッテをたずねる／西海岸のソッテ／東海岸のソッテ／ソッテの歴史的背景｝
第I章 太陽と鳥の信仰
一 太陽を射る ｛弓神事の謎／年頭の神事が意図するもの／餅と太陽と鳥／太陽を射る神事／鳥と兎の的の分布／ビシャの起源／盤古神話と射日神話／射日神話絵図の発見／山神祭と射日神話／太陽中の烏の初出／射日神話はどこから／洞窟に隠れた太陽の話／十日神話と天岩屋のルーツ｝
二 太陽の樹と鳥 ｛宇宙の中軸としての山と樹／立竿祭祀と太陽信仰／蘇塗と対馬の卒土／八関の舞／禾竿にとまる鳥／太陽の樹を遡る／太陽の樹を描く／宇宙樹と新年の柱／融水苗族の苗年／柱が村のヘソとなる／太陽を迎える柱の役割／鳥官が暦を司る／芦笙柱の祭が暗示するもの｝
三 鳥装の習俗と鳥巫 ｛鳥装する鳥巫／鳥の仮面と鳥装／鷹になるミャオ族の巫者／脱魂と憑霊／鳥巫の名残り／なぜ鳥装し船に乗るのか／武器を執り鼓を叩く舞い／巫鏡と太陽｝
四 巫祝文化の系譜 ｛シャーマンの由来／東夷系文化の北漸／太陽をまつるシャーマン／殷人の太陽観／太陽神図像の系譜／��と社の起源／鳥夷と鳥身人言の巫／殷と周と蛮夷／広がる鳥夷の文化／十日信仰の伝播／楚文化圏の鳥霊信仰｝
第II章 稲の起源と日本への道
一 穀物出土分布と稲作の起源 ｛照葉樹林文化論について／中国の穀物出土分布／北と南で異なる農耕文化／稲作の立地条件／日本の穀物出土状況／ジャポニカの分布と「江淮荊州」／稲作文化の担い手｝
二 モチ文化とその担い手 ｛雑穀とイネのモチ文化圏／モチイネ誕生の経緯／モチ文化は儀礼文化／融水ミャオ族の事例／黔東南ミャオ族の事例｝
三 モチなし正月と“越文化” ｛モチなし正月とは／稲作主導型雑穀混作文化／焼畑文化の起源／根栽文化と“越文化”／八月十五夜の儀礼についての疑問／望の日の儀礼食・里芋／八月の満月祭は新しい｝
四 稲作の伝播と海上の道 ｛楚文化と越文化／「海上の道」説と稲作／片口箕の南下／チガヤ信仰の南下／漁撈文化と海上交通／潜水漁撈文化と入れ墨／稲作民族と入れ墨／稲を伝えた民俗｝
第III章 稲が運んだ精神文化
一 イネと湿原祭祀―チガヤ信仰・若水・歌垣 ｛チガヤ信仰の淵源／シャーマニズム的土壌／ミャオ族にとってのチガヤ／日本のチガヤ信仰／綱引きとソッテ／若水汲みと生命の誕生／若水の起源／聖地・桑林と水辺の祭／若菜摘みと歌垣／柱と洪水型近親相姦／採桑と鳴弦と射日神話／人生儀礼と射日神話／採桑民俗と養蚕の伝播｝
二 太陽霊と魂と稲魂 ｛古代人にとってのタマ／初穂儀礼と稲魂／穀霊と稲魂／ミャオ族の稲魂／ミャオ族の新嘗祭｝
三 ケ・ケガレ・コモリ・ハレ ｛中国人の「気」と日本語の「ケ」／稲魂とタマを結ぶ大地／他界空間よりヨミガエル｝
四 草荘神の出現 ｛来訪神出現の基盤／年はじめに出現する神／新嘗に祖神が訪れる／一夜の宿を求める神／「宿借り」は死霊の来訪／蓑笠にかくれる霊魂／マレビトはなぜ草で装うのか／八重山の来訪神／正月はいく度も来る／原初の植物と来訪神／大苗山の来訪神／祖先神、マンガオ／福を授け、悪疫を祓うモウコウ／草装する湖西のマオグス／山神はマレビトたり得るのか｝
五 神の去来と東西軸宇宙観 ｛春と秋の神の去来／社日と神の去来／彼岸の天道念仏／彼岸行事と太陽の運行／春社・秋社と田の神／ミカワリ婆さんとヨンドン婆さん／龍抬頭と針仕事／春社・秋社と龍の祭事／出雲・諏訪の龍蛇の去来／“山”のもつ総合的な意味／二分と冬至、どちらが重要か／東西軸中心の宇宙観｝
注
あとがき
