1997年初版　Ａ５判　P538　函少イタミ、背少シミ汚れ

“ところで、王の舞は平安末期から鎌倉初期にかけて、おもに中央の大社寺で行われていた祭礼で田楽・獅子舞などとともに演じられていた。現在でも十六件の事例を擁する福井県の若狭地方をはじめ、各地にひろく分布している。その歴史的かつ民俗的な実態は興味深い問題を多々含むものであった。”（序章より）

目次：
序章
第一部　王の舞の民族史
　第一章　王の舞の成立と展開
　　｛一　はじめに／二　王の舞の定義／三　王の舞の諸相／四　王の舞の伝播／五　王の舞の成立／六　王の舞のイメージ／七　おわりに｝
　第二章　王の舞の分布と特色―若狭地方を中心として―
　　｛一　はじめに／二　各地における王の舞／三　若狭地方における王の舞／四　王の舞の分布と特色／五　おわりに｝
　第三章　若狭の一つ物―王の舞との関連に触れて―
　　｛一　はじめに／二　一つ物の輪郭／三　一つ物の研究史／四　一つ物の諸相／五　若狭の一つ物／六　一つ物と王の舞／七　結びにかえて｝
　第四章　若狭の一つ物・補遺
　　｛一　起／二　承／三　転／四　結｝
　第五章　王の舞の修辞学
　　｛一　はじめに／二　中世芸能としての王の舞／三　民俗芸能としての王の舞／四　来訪神と外来王／五　開発神と文化英雄／六　豊穣と生命力／七　おわりに｝
　第六章　風土としての芸能
　　｛一　はじめ／二　風土としての芸能／三　若狭と王の舞／四　二つの事例／五　異文化の接触／六　演じられる自然／七　おわりに―芸能を遊ぶ―｝
　第七章　聖なる水の湧きたつところ
　　｛一　芸能・空間・他界／二　奈良から若狭へ／三　常世の国／四　他界とは何か｝
　第八章　王の舞の解釈学
　　｛一　はじめに／二　猿田彦と王の舞／三　方固めと王の舞／四　方堅と王の舞（一）／五　方堅と王の舞（二）／六　釈義の政治学へ／七　おわりに｝

第二部　王の舞の民俗誌
　第一章　仕掛けとしての演劇空間―弥美神社の祭礼と芸能―
　　｛一　弥美神社とその周辺／二　祭祀組織の構成／三　御膳一覧／四　弥美神社祭礼次第／五　祭礼の言説／六　儀礼の演劇性｝
　第二章　演じられる現実―王の舞をめぐる民俗的変容の一考察―
　　｛一　問題／二　祭礼／三　芸態／四　教育／五　再生（一）／六　再生（二）／七　現実｝
　第三章　砂のある舞台―弥美神社の王の舞をめぐって―
　　｛一　はじめに／二　王の舞の舞台／三　砂持ち・石持ちの神事／四　産砂と産屋／五　都市の民俗としての砂持ち／六　砂をめぐる儀礼／七　砂のある舞台｝
　第四章　語られた起源―織田神社の祭礼と芸能
　　｛一　はじめに／二　織田神社の概要／三　織田神社の芸能／四　旧説の再検討／五　盗まれた御神体／六　神話的時間としての「古代」／七　おわりに、あるいは内部化された外部｝
　第五章　異化する視線―木野神社の祭礼をめぐって―
　　｛一　はじめに／二　木野および木野神社の概況／三　木野神社の祭礼／四　弥美神社の祭礼／五　餅なし正月／六　おわりに｝
　第六章　福井県三方郡三浜町麻生の若者組・史料
　第七章　差異と反復―民俗社会における芸能―
　　｛一　民俗的世界観と芸能／二　錯綜する世界観と芸能／三　個の領域と芸能／四　差異と反復｝
　終章

成稿一覧
索引